簿記の始まり③ 〜全てはこの一言からはじまった〜
ルカは、毎日果物を買ってくれるマルゲリータという料理屋に果物の配達をしています。
ある日、マリゲリータの店主バジリコさんから、
「毎日くる度にお金を払うんじゃなくて、1ヶ月まとめて後払いで支払できないかね?毎回お金を用意するのが面倒だし、料理の準備中だと手が離せなくてねぇ」と相談されました。
お金をもらえるのが少し遅くなってしまうけど、毎度毎度、お釣りを用意する必要がなくなり手間が省けますし、これまで代金はきちんと払ってくれているので、問題なさそうです(信用取引)。
そこでルカは、
「では、毎月の1〜5日の間に、その前月の代金を計算して請求書を渡しますので、10日までに支払ってもらうということでいいですか?」と言いました。
バジリコさんは「つまり、1月の分はまとめて、2月1〜5日の間に請求書が来て、2月の10日までに払えばいいということだね。それでいいよ」と言ってくれたので、月末締め・翌10日払いの契約になりました。
しかし、「記帳をどうしようか?」とルカは考えます。
今までのように、現金で代金を払ってくれた時に売上を記録(現金主義)していては、1月の売上が2月の1〜10日の間に払われるので、1月の売上がずれて分からなくなってしまいます。
そこで、ルカは新しいノートで売掛帳を作り、後払いで売った分は売掛金(うりかけきん)という勘定科目で記録することにしました。
「掛け売り」という言葉があります。商品を売っただけで、代金回収はあとでするので、「掛け売り」。「掛け」とは「やり掛け」の「掛け」です。
なので、売掛金とは、売っただけで、これから回収する代金と言う意味です。
さっそく、ルカは売掛帳に11日〜13日の売上を書きました。
日付 | 売上 | 回収 | 残高 |
---|---|---|---|
11日 | 10 | ー | 10 |
12日 | 12 | ー | 22 |
13日 | 10 | ー | 32 |
14日 | 11 | ー | 43 |
これで、売掛帳の売上の合計と現金出納簿の売上の合計を足せば、1月の売上の合計が出せるようになりました。