とある農大生の独り言

徒然なるままに

正規の簿記の原則

今回は、真実性の原則に続き、企業会計原則の一般原則のうちで2番目に出てくる【正規の簿記の原則】について書きますが、実はこの原則、非常に説明がしにくい原則になってまして、ぶっちゃけ、飛ばしてもらってもいいと思います。

 

が、しかし、私としては飛ばすわけにはいかないので、書かして頂きます。

 

【正規の簿記の原則】は、法規集にこのように書かれています。

正規の簿記の原則:企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない。

 

これを読むと「はぁ?」となりませんか?

私はなりました。

だって、正規の簿記の原則の説明なのに、「正規の簿記の原則に従って」って、あんたそりゃ、全然説明になってないじゃん!

 

まぁ、とにかく、ポイント①は「正規の簿記」ってなんだよってことです。

 

言葉の定義を考えるときは、まず分解する必要があります。

今回の場合、「正規」と「簿記」ですね。

「正規」の定義は後回しにして、「簿記」から考えていきましょう。

 

「簿記」とは簿記と会計学で書いたように、帳簿記入の略語で、日々の売上や経費を「帳簿」に「記入」していく技術であり、手法です。

数学や自然科学と違い、人間が自分で自分の商売の記録をしていくために作ったものですから、いろいろな人が作った、いろいろな「簿記」があります(単式簿記複式簿記商業簿記・工業簿記・イタリヤ式簿記・ドイツ式簿記…etc)。

 

例えると、言葉みたいなものですね。言葉というのは、人間同士がコミュニケーションをとったりするためのものですが、一種類しかないわけではなく、日本語・英語・イタリヤ語・中国語などなど、それぞれの人たちが自分たちで作った言葉がいろいろありますよね。特に方言など、一部の地域の人だけで作った言葉です(一方、数学の三平方の定理は世界中どこでも同じように成り立ちます)。

 

しかし、前回の記事で書いたように、簿記で記録された、売上や利益は、税務署や銀行、投資家などなどいろいろな人に影響を与えます。なので、「自分たちさえわかればいいよ、簿記であればなんでもいいよ」というわけにはいきません。

 

そこで、「正規の」という言葉で、簿記が限定されています。

では、「正規の」とは何でしょう?

実は明確に「正規の簿記とは、◯◯簿記である!」とはどこにも書かれていません。

 

なので、推測するしかありません。

 

「正規の」にあてはまる条件を探していきましょう。

真実性の原則には「企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するもの」とありました。

従って、「企業の財政状態及び経営成績を計算できて、真実な報告ができるような簿記」です。

 

また、簿記で記録された、売上や利益は、税務署や銀行、投資家などなどいろいろな人に影響を与えますから、方言みたいに、一部の人だけがわかるような簿記ではだめで、一般的に通用する簿記(あいまいな言い方ですが、まぁ広辞苑に載っているような日本語みたいな?)でなければなりません。

 

さらに、のちのち説明しますが、貸借対照表原則というのがあって、そこに「資産、負債及び資本を記載しなければならない」とありますので、資産・負債・資本がきちんと記載される簿記でなければなりません。

 

これらの条件を満たす簿記となると、単式簿記貸借対照表を作らない)・工業簿記(財政状態・経営成績がわからない)だけでは不十分で、基本的に複式簿記商業簿記で記録しなければならないと考えられます。

 

なので、「正規の簿記っていうのは、複式簿記」ということになります。

(厳密にいうと、単式簿記が全く認められていないわけではないのですが、このような理解でも問題ありません。詳しい説明は、確定申告の白色・青色申告の説明をするときにします。)

 

そして、ポイント②は、「正確な会計帳簿を作成しなければならない」とあるように、紙やデータで残しておきなさいよということです。

例えば、あなたがものすごい記憶能力と計算能力の持ち主で、いままでの取引を全部、暗記して、売上や利益を暗算できたとしても、紙やデータで会計帳簿を作って、他人が見てもわかるようにしないといけないのです。

 

ながながと書きましたが、まとめると、

【正規の簿記の原則】っていうのは、複式簿記を使って紙やデータで、ちゃんと会計帳簿、作ってね!みたいな感じです。

単式簿記複式簿記については、簿記の始まりの話の中でしていきますので、もうちょっと待ってください(^^;)