とある農大生の独り言

徒然なるままに

相続税③

一郎は花子との約束を果たすため、一緒に飲食店にやってきた。

 

花子「たしかに、なかなか趣があっていい店ね」

一郎「だろ。料理もきっと気にいると思うよ。」

 

二人は料理を注文した。

一郎「この間はありがとう。ちょっと相続税のことがわかってきたよ。

でもさ、根本的に相続税ってなんでかかるんだろう?

だって、相続って、子供が親から物をもらうようなものだろ?なんで、親から財産をもらうのに税金を払わなきゃなんねぇんだって思うよ」

 

花子「たしかに、自分だけのことを考えるとそうなるわね。

逆に相続税がなかった場合を想像してみるといいわ。

もし、相続税がなかったらどうなると思う?」

 

一郎「そりゃ、いちいち相続税を払わなくていいんだから、財産をそのまま親からもらうだけじゃん?」

花子「そう、親からそのまま財産をもらえるようになるわ。だから、親が莫大な財産をもっていれば、その子供は働かなくても生きていけたり、不動産経営をして、家賃収入だけで暮らしていけたりするわ。

そうすると、財産のない人は一生懸命、働いて、稼いだお金で財産のある人たちに家賃を払って、所得税も払うことになるわ。

そして、それが代々続くことになる。そうすると、親の財産がない人と財産がある人の格差はどんどん広がっていくわ。今だって財閥やセレブがいるでしょ。もし、相続税がなかったら庶民とあの人たちの所得格差はこんなもんじゃなくなっているわ。」

 

一郎「たしかに、相続税があっても、やっぱり財産をもっている人たちとそうじゃない人たちとは貧富の差があるもんな。貧富の差は教育格差とかにもつながって、やっぱり裕福な家系は裕福に暮らせるような教育が受けられて、貧乏だと貧乏から抜け出すための教育が受けられなかったりとかあるもんな。」

 

花子「そう。知識や経験に税金はかからないから、自分の財産を子供の教育に使うのはある意味、最強の節税方法と言えるかもしれないわね。

そして、格差が広がり続ければどうなるか。極端なことを言えば戦争になるわ。

実際、フランス革命なんかは裕福な貴族に税金がかからなくて、貧しい庶民に重税を払わせていたことが一つの原因なのよ。まぁ、フランス革命だけじゃなく、戦争には必ず経済的な理由があるものだけどね。」

 

一郎「そうか〜、じゃあ相続税は平和のためにも必要なのか。っていっても、自分が払うとなるとやっぱり嫌だけどな」

 

花子「でも、相続は放棄できるのよ。相続しなければ、もちろん相続税もないわ。

あった物がなくなるだけで、マイナスにはならないのよ。まぁ、人は最初からないより、あった物がなくなった方が損をしたと感じるけれどね。」

 

一郎「なるほど。ゼロにはなるけど、マイナスにはならないのか。そう考えると、まぁ仕方ないかと思えなくもないな」

 

花子「生まれた状況で差があるのって、なるべく解消されるべきだと思うわ。自分がどんなにがんぱっても、お金持ちの家に生まれた人には勝てないなんて思いたくないしね。私は親から相続した家より、自分で努力して買った家の方が愛着がわくと思うけどな」

 

一郎「俺の家がもっと金持ちで相続税がなかったら、俺は一生プー太郎やってただろうな。そんな人生もいいけどな〜」

 

花子「私は絶対嫌」