0からはじめる経理・税務・会計  そして、確定申告

確定申告を自分でしたい人に向けて、税務・会計・経理について書きます。

現金主義と発生主義

今回は、会計学の現金主義と発生主義についてです。

会計・簿記において会計公準と同じくらい重要で基本的なものです。
 
まず、主義とはなんでしょうか?
 
よく、あの人は現実主義・リアリストだ、とか逆に理想主義・ロマンチストだ、とか言います。
 
現実主義を調べてみると
「現実主義とは現実を最重視する態度。理想を追うことなく、現実の事態に即してことを処理しようとする立場。」
と書いてあります。
 
つまり、主義とは、何を重要視しているかということです。
 
だから、現金主義とは、現金の流れを重要視する考え方で、発生主義は、取引の発生を重要視する考え方です。
 
たとえば、1月1日、ルカのお店にお得意さんが来て、「今日は10リラの果物を頂戴。」と言われ、品物を渡しました。
しかし、お得意さんに「あっ!財布を忘れちまったよ。明日も来るから、明日まとめて払ってもいいかい?」と言われました。
ルカはほとんど毎日来てくれているお得意さんなので「いいですよ」と承諾しました。
そして、実際に1月2日にお得意さんはお金を払いに来ました。
 
このとき、ルカが現金主義だとすると、
1月2日 売上 10リラ
と表に書くことになります。
なぜなら、2日に現金が入ってきたからです。
 
でも、発生主義だとすると、
1月1日 売上 10リラ
と表に書くことになります。
なぜなら、1日に品物を渡して、お金を払う契約をしているので、取引が発生しているからです。
 
つまり、「いつ」売上があがったかを決める時に、
「品物を渡してても、ちゃんとお金が入ってくるかわからないじゃないか。ちゃんとお金が入ってきた時に売上が上がったと書くべきだ」と考えるのが現金主義で、
 
「いやいや、品物を渡して、明日払うとまで聞いてるんだ。書面じゃなくても、きちんと契約が交わされてるんだから、契約が交わされた時に売上が上がったと書くべきだ」と考えるのが発生主義です。
 
どちらが正しいというわけではありません。
それぞれにメリット・デメリットがあります。
 
現金主義は、現金の受け渡しという「行動」に基づいていますから、記録する人がわかりやすい・記録が少なくて済むというメリットがあります。
しかし、品物を渡しているのに、その記録が残らないとか、今月は営業マンが頑張って100万円の契約を取ってきたけど、お金が入ってくるのは来月だから今月の売上には載らない、今月の営業成績がわからない、というデメリットがあります。
 
一方、発生主義だと、取引の発生という「意思」に基づいていますから、記録を見る人が取引がいつ行われたかが分かる・お金が動いていなくても契約の状況が分かるというメリットがあります。
しかし、「意思」という直接目に見えないものに基づいていますから、「今月は、売上が少なかったから、100万円多く売ったことにしておこう」など嘘が書きやすくなるというデメリットがあります。
 
前の記事にも書きましたが、大昔で現金決済しかなくて、契約とお金の引き渡しにタイムラグがなければ、現金主義で問題ありませんでした。1日の中で、契約とお金の引き渡しが終わってしまえば、現金主義でしようが、発生主義でしようが、結果は同じですから。
 
しかし、現代のように、クレジットカード決済や分割払いやお試し販売など色々な販売方法がでてくると、現金主義では、取引の状況がわからなくなってしまいます。
なので、現代の会計では「発生主義」で記録しましょう!という風になっています。