企業会計原則①
今日は会計学の話です。
以前、会計公準の話をしました。
会計公準は、会計をするにあたって守るべき大前提でした。
その大前提の上に位置するのが、「企業会計原則」です。
(きぎょう かいけい げんそく)と読みます。
「原則」というくらいですから、大前提と同じように、法律ではありませんが、基本的に守らないと、会計が成り立たなくなってしまうルールです。
企業会計原則は、今から約60年前の1949年に企業会計制度対策調査会:大蔵省(今の企業会計審議会:金融庁の所轄)が発表しました。
今は、企業会計基準委員会という民間団体が主に企業会計基準を改正しているのですが、話が逸れてしまうので割愛します。
企業会計原則は会計法規集に載っています。(今はネットでも見れます)
(学生時代はこれで勉強しました。あぁ、懐かしい)
企業会計原則は、国の機関が作ったわけですが、法律ではないので、守らなかっただけで罰則などはありません。でも、商法19条や会社法421条で「一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする」と書いてあるため、間接的に法律で守ってと要求されています。
企業会計原則は、大きく3つに分けられます。
まずは、一般原則。
2つめに損益計算書原則。
3つめは貸借対照表原則。
おまけで注解というのがあります。
一般原則というのは、損益計算書・貸借対照表を作る際にはもちろん、会計を行う際全般にわたって守るべきものです。
一般原則には、7つの原則があります。
1、真実性の原則
2、正規の簿記の原則
3、資本取引・損益取引区分の原則
4、明瞭性の原則
5、継続性の原則
6、保守主義の原則
7、単一性の原則
これに、注解の「重要性の原則」を含めてた8つで一般原則と言う場合もあります。
次回から、一つずつ解説していきます。
簿記の始まり⑤〜ルカは損益計算書を作ってみた〜
ルカが、現金出納簿・売掛帳・売上帳・仕入帳をつけ始めて1ヶ月が経ちました。
ルカは「そういえば、そもそも記帳を始めたのは売上や利益がどれくらいなのかを把握するためだった」と思い出しました。
そこで、それぞれの帳簿の残高・累計をまとめてみました。
現金出納帳
日付 | 入金 | 出金 | 残高 |
---|---|---|---|
1日 | ー | ー | 100 |
2日 | 売上1 | ー | 101 |
3日 | 売上2 | ー | 103 |
4日 | 売上1 |
仕入1 ノート1 |
102 |
5日 | 売上1 |
仕入1 |
102 |
6日 | 売上3 |
仕入2 |
103 |
7日 | ー |
ー |
103 |
8日 | 売上1 |
仕入2 |
102 |
9日 | 売上3 |
ー |
105 |
10日 | 売上1 |
仕入1 |
105 |
11日 | 売上2 |
ー |
106 |
12日 | 売上1 |
仕入2 |
105 |
13日 | 売上4 |
仕入1 |
108 |
14日 | 売上1 |
ー |
109 |
・
・
・
30日 | 売上4 |
仕入30 |
150 |
31日 | 売上1 |
ー |
150 |
売掛帳 マルゲリータ1月
日付 | 売上 | 回収 | 残高 |
---|---|---|---|
11日 | 10 | ー | 10 |
12日 | 12 | ー | 22 |
13日 | 10 | ー | 32 |
14日 | 11 | ー | 43 |
・
・
・
30日 | 12 |
ー |
89 |
31日 | 10 |
ー |
99 |
売上帳
日付 | 摘要 | 金額 | 累計 |
---|---|---|---|
1日 | ー | ー | 0 |
2日 | 現金 | 1 | 1 |
3日 | 現金 | 2 | 3 |
4日 | 現金 |
1 |
4 |
5日 | 現金 | 1 | 5 |
6日 | 現金 | 3 | 8 |
7日 | ー | ー | 8 |
8日 | 現金 | 1 | 9 |
9日 | 現金 |
3 |
12 |
10日 |
現金 |
1 |
13 |
11日 |
現金 売掛 |
2 10 |
25 |
12日 |
現金 売掛 |
1 12 |
38 |
13日 |
現金 売掛 |
4 10 |
52 |
14日 |
現金 売掛 |
1 11 |
64 |
・
・
・
30日 |
現金 売掛 |
4 12 |
312 |
31日 |
現金 売掛 |
1 10 |
323 |
仕入帳
日付 | 摘要 | 金額 | 累計 |
---|---|---|---|
1日 | ー | ー | 0 |
2日 | ー |
ー |
0 |
3日 | ー | ー | 0 |
4日 | 現金 |
1 |
1 |
5日 | 現金 | 1 | 2 |
6日 | 現金 | 2 | 4 |
7日 | ー | ー | 4 |
8日 | 現金 | 2 | 6 |
9日 | ー |
ー |
6 |
10日 |
現金 |
1 |
7 |
11日 |
ー |
ー |
7 |
12日 |
現金 |
2 |
9 |
13日 |
現金 |
1 |
10 |
14日 |
ー |
ー |
10 |
・
・
・
30日 | 現金 |
30 |
225 |
31日 | ー |
ー |
225 |
現金の残高:150
売掛金の残高:99
売上の累計:323
仕入の累計:225
ノート代とかの経費:30
ルカは考えました。「えーっと、果物を売った利益を計算するには売上から仕入を引けば出るはずだから、利益は323ー225=98だな。
この利益から、さらにノート代とか仕入以外でかかった経費を引くと98ー30=68だから、仕事で稼いだ利益は68だ。
どちらも利益だと、ややこしいな。よし、最初の方を、売上利益、後の方を営業利益とよんで区別しよう。」
さらにルカはパッと見てわかるように表にしてみました。
売上 | 323 |
仕入 |
225 |
売上利益 |
98 |
経費 |
30 |
営業利益 |
68 |
ルカ「これは、1ヶ月の営業活動が損失なのか利益なのかを計算する書類だから、損益計算書と名付けよう」
こうして、損益計算書というものが作られました。
ふるさと納税、特産品が届きました!
先月、ふるさと納税をしてみた!で選んだ特産品のお礼が届きました。
簿記の始まり④
ルカが記帳を初めて2週間が経ちました。
ルカが作っている二つの帳簿はこんな感じになりました。
現金出納帳
日付 | 入金 | 出金 | 残高 |
---|---|---|---|
1日 | ー | ー | 100 |
2日 | 売上1 | ー | 101 |
3日 | 売上2 | ー | 103 |
4日 | 売上1 |
仕入1 ノート1 |
102 |
5日 | 売上1 |
仕入1 |
102 |
6日 | 売上3 |
仕入2 |
103 |
7日 | ー |
ー |
103 |
8日 | 売上1 |
仕入2 |
102 |
9日 | 売上3 |
ー |
105 |
10日 | 売上1 |
仕入1 |
105 |
11日 | 売上2 |
ー |
106 |
12日 | 売上1 |
仕入2 |
105 |
13日 | 売上4 |
仕入1 |
108 |
14日ー | 売上1 |
ー |
109 |
売掛帳 マルゲリータ1月
日付 | 売上 | 回収 | 残高 |
---|---|---|---|
11日 | 10 | ー | 10 |
12日 | 12 | ー | 22 |
13日 | 10 | ー | 32 |
14日 | 11 | ー | 43 |
ルカは「2週間で売上はいくらになったんだろう?」と思い計算してみました。
現金出納帳の売上:21
売掛帳の売上:43
合計:64
「ふむふむ、14日間で売上は64リラか。売上が1日毎にどれだけ増えていっているのかすぐにわかるように売上帳を作ろう。ついでに仕入もわかるように仕入帳も作ってしまおう。」
売上帳
日付 | 摘要 | 金額 | 残高 |
---|---|---|---|
1日 | ー | ー | 0 |
2日 | 現金 | 1 | 1 |
3日 | 現金 | 2 | 3 |
4日 | 現金 |
1 |
4 |
5日 | 現金 | 1 | 5 |
6日 | 現金 | 3 | 8 |
7日 | ー | ー | 8 |
8日 | 現金 | 1 | 9 |
9日 | 現金 |
3 |
12 |
10日 |
現金 |
1 |
13 |
11日 |
現金 売掛 |
2 10 |
25 |
12日 |
現金 売掛 |
1 12 |
38 |
13日 |
現金 売掛 |
4 10 |
52 |
14日 |
現金 売掛 |
1 11 |
64 |
仕入帳
日付 | 摘要 | 金額 | 残高 |
---|---|---|---|
1日 | ー | ー | 0 |
2日 | ー |
ー |
0 |
3日 | ー | ー | 0 |
4日 | 現金 |
1 |
1 |
5日 | 現金 | 1 | 2 |
6日 | 現金 | 2 | 4 |
7日 | ー | ー | 4 |
8日 | 現金 | 2 | 6 |
9日 | ー |
ー |
6 |
10日 |
現金 |
1 |
7 |
11日 |
ー |
ー |
7 |
12日 |
現金 |
2 |
9 |
13日 |
現金 |
1 |
10 |
14日 |
ー |
ー |
10 |
ルカ「よし!これで、残高を見れば、すぐに今までの売上・仕入の合計がわかるようになったぞ。これからは、現金の売上があったときは、現金出納帳と売上帳に書いて、売掛の売上があったときは、売掛帳と売上帳に書くようにしないとな。」
簿記の始まり③ 〜全てはこの一言からはじまった〜
日付 | 売上 | 回収 | 残高 |
---|---|---|---|
11日 | 10 | ー | 10 |
12日 | 12 | ー | 22 |
13日 | 10 | ー | 32 |
14日 | 11 | ー | 43 |
これで、売掛帳の売上の合計と現金出納簿の売上の合計を足せば、1月の売上の合計が出せるようになりました。
ふるさと納税をしてみた!
少し今更なんですが・・・
ふるさと納税をしてみました!
なので、今回は少し話を脱線して、ふるさと納税について書きたいと思います。
ふるさと納税という言葉は聞いたことがある人が多いと思います。
私も以前から言葉も制度も知っていましたが「所得税から引かれるけど、税率低い人には、損でしょ。それに確定申告しないと税金から引かれないし。やらねー」と思っていました。
ところが、つい最近ふるさと納税をしたことのある人から「主に住民税から引かれるんだよ。だから、所得が低い人でもお得だよ。」と言われ計算シュミレーションサイトで調べてみると・・・
結果は・・・
↓
↓
↓
↓
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住民税2万円以上も引かれるじゃん!!!
マジで!!!
実質2000円の負担で2万円寄付した時のお礼の品がもらえる!!
これはやってみるべし!!!
と思い直し、やってみました。(中途半端な知識で物事を判断するのはダメですね。反省(^^;;)
私が使ったのは「ふるさとチョイス」というサイトです。
このサイトで、寄付からお礼の品選び・カード決済まで全てできます。
(別にふるさとチョイスの回し者ではありません)
まずは無料登録をします。右上にボタンがあります。
メールアドレスを入力して登録!
↓この画面になります。
入力したメールアドレスにメールが届くので、URLをクリック。
これで登録完了
このあと、住所登録の画面が出てきます。
登録してもしなくてもいいですが、登録すると次回以降の入力の手間がはぶけます。私はこれからも使うと思うので登録しました。
サイトで、特産物を選びます。
金額や特産物やクレジットが使えるもの等いろんな方法で、検索がかけれます。
私は振込などは面倒なので、「チョイスからクレジット決済ができる」で山形県天童市の天道牛もも(焼き肉用)を選びました。
下にある「この自治体に寄付を申込む」ボタンを押します。
すると、申込みフォームに移るので、住所などを入力して(登録した人は自動入力されます)、支払い方法を選びます。
その他にも、寄付の使い道を選べたりします。
お礼の特産品を選びます。
山形県天童市は将棋駒の生産が盛んみたいで、お礼の品の他に将棋駒ストラップももらえるみたいですwww
確認ボタンを押して、入力内容に間違いがないかを確認したら「送信する」ボタンを押します。
クレジットカード決済をした場合は「クレジットカード決済に進む」ボタンから決済画面に移ることができます。
↓
クレジットカード情報を入力して、決済をしてしまえば、
ふるさと納税、完了!
あとは、商品と寄付金控除証明書が送られてくるのを待って、来年確定申告をするだけ。
すごい!
このサイトはふるさと納税の問題点についてもきちんと取り上げていたので、使いました。他にもいろんなサイトがあるので、自分の好きなサイトを選べます。
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ここからは、お勉強。
ふるさと納税という制度は、なんのためにあるのでしょうか?
ふるさと納税は、「納税」という言葉がついていますが、もともと「寄付金控除」という税金の制度の応用バージョンです。
たとえば、私が赤十字社に寄付をしたとします。
赤十字社は、災害救護など苦しむ人を救うために活動している団体です。
(日本赤十字社は国に特定公益増進法人として認められています)
とすると、私が出した寄付金はみんなのために使われる(=公共性・公益性がある)ということです。
一方、税金というのは、日本という国や県、市町村など、同じ地域で住んでいる人たちが、みんなで使う道路などを作ったりするため(=公共性・公益性がある)に、みんなで払うお金でしたよね。
「じゃあ、みんなのために使われるという所(=公共性・公益性がある)は税金と一緒なんだから、私がもともと払う予定の税金から引いてもいいよね」
という風に考えるのが「寄付金控除」という制度です。
仮に私の今年の所得額5万円、所得税率5%で寄付したのが1万2千円だったとします。
この場合、私の所得税は{5万円ー(1万2千円ー2千円)}✖️5%=200円となります。
2千円引いているのは、控除対象下限額といって、税法で決まっています。
これは、あまりにも小さい額の寄付金まで、税金の計算に入れると、寄付金の額以上に税務署の処理が大変になってしまうためです。少し前の23年度までは5000円でしたが、税務署のITが発達したためでしょうか、2000円にまで引き下げられました。
あと、個人的な意見ですが、強制じゃないんだから2000円は純粋な寄付しろよとか寄付金で税金が控除されるってことは、税金を納める所を自分で選べるってことだから、2000円くらいは、その選択料として余分に払ってよってこともあるんじゃないでしょうか。
この寄付金控除の制度と、地方の特産物サービスを組み合わせたのが、ふるさと納税です。
赤い羽根募金をしたら、赤い羽根がもらえますよね(今はどうなんだろう?)。
「◯◯県に寄付してくれたら、お礼として◯◯県の特産品を送ります!」ということです。
そして、その寄付の一部は税金から差し引かれるので、実質負担は寄付した額から税金が免除される額を差し引いた額になるというわけです。
なぜ、こんな制度ができたかというと、その大きな原因は地方の過疎化です。
働き盛りの人たちが、どんどん地方から東京などの都会に上京すると、住民税などの地方税は、住んでいる都道府県・市町村に収められるため、地方の税収がどんどん少なくなっていってしまいます。
地方は小学校・中学校など地方のお金を使って子供達を育てたのに、働き盛りになって、税金を収めてくれると思ったら、都会に行ってしまう。
税収が減ってしまっては、新しい施設を作ったり、道路を整備できなくなるので、余計人が便利な都会へ行ってしまう。するとまた税収が減る。
この問題を解決するために2008年からふるさと納税が導入されました。
ふるさと納税により、都会に収められるはずの税金が地方に収められます。
↑の画像で特産品を選ぶところで[市外にお住まいの方でご寄附をいただいた皆様]と書いてあるのは、そのためです。
もちろん逆パターンもあります。しかし、サイトで検索してみればわかると思いますが、東京や大阪は地方に比べお礼の品のバリエーションが少ないです。それに、都会の方が人口が多いので、地方に流れるお金の量も大きくなります。
すると、今度は都会の税収が少なくなるじゃないか!と思うかもしれませんが、寄付した額が住民税から引けるのは、住民税の2割までとなってるため、それ以上は都会の税金が少なくなったりはしないのです。(所得税は所得額の4割が限度額ですが、所得税は国税なので地方税とは別です)
また、最低でも2000円は純粋な寄付となるので、都会もそんなに困らないし、地方は助かるというわけです。
賛否両論あるようですが、このブログの読者の方は確定申告される方が多いと思うのでおすすめです。
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ここからは、確定申告の手続き編です。
この記事の最初の方に「確定申告しなきゃ税金から引かれないし」と書いていたように、ふるさと納税をするとサラリーマンなど確定申告をしなくてもいい人が「寄付しましたよ」ということを税務署に言わなければ、税務署はわからないので寄付した額は税金から引かれません。
(もちろん、確定申告したら税金から引いてあげるよという制度なので、確定申告しなかったら、寄付した全額が純粋な寄付になるだけなので、罰則なんかはありません。2015年4月1日以降の寄付で、もともと確定申告する必要のない場合は「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」で代用できるみたいです。)
なので、確定申告書で何をすればいいのかを確認しておきましょう!
することは3つです。
①第一表に寄付金の控除額を書く
②添付書類台紙に寄付証明書を貼る
③第二表に寄付先の所在地・名称と寄付金の額を書く
まずは①、確定申告書Bの表紙です。
「所得から差し引かれる金額」の中に「寄付金控除」という欄があります。
ここに、表の「所得の金額」の合計✖️40%か、ふるさと納税した額の、どちらか低い方の金額から2千円を引いた額を書きます。
たとえば、所得の金額が10万円とします。その40%は4万円、寄付をした金額が1万円だとすると、寄付をした金額の1万円の方が低いので、1万円から2千円引いた8千円を書くことになります。
②次は、添付書類台紙に、寄付した地方から届いた寄付証明書を貼り付けます。
③最後に第二表です。
上の欄に寄付先の所在地と寄付した額を書きます。私の場合、「山形県天童市・10000円」と書くことになります。
下の欄の「都道府県・市区町村分」と書いてあるところに寄付した額を書きます。
ふるさと納税に関するところは、これで終わりです。
そんなに難しくないでしょ?
まあ、確定申告する時まで、
・寄付証明書が届いたら大事に保管しておかなきゃ!
・確定申告する時は、3箇所に金額を記入するところがあるんだな〜
ということだけ覚えておけば十分でしょう。
現金主義と発生主義
今回は、会計学の現金主義と発生主義についてです。