税金の役割1
前回までで、税の
・目的
・使い道
・決め方
・分類
などを書いてきました。
今回は、税金の役割・効果についてです。
目的から言えば、国や地方公共団体のサービス向上でしょ?と思うかもしれません。
もちろんそうなのですが、これ以外に4つ
・景気調整
・経済政策の推進
・国内産業の保護
があります。
一つづつ見ていきましょう。
1.富の再分配(富の格差を少なくする)
税の大原則である課税公平主義の原則は、「税金は、無理なく払える範囲で平等に負担してもらう」というものなので、結果として、金額としての税金の負担は、裕福な人は多く、貧しい人からは少ないということになります(担税力としては平等になります)。
しかし、税金が集められて、使われるのは担税力に関係なく、みんなのためです。
例えば、「貧しくて税金の負担額が少ない人は図書館で5冊までですが、高額納税者は15冊借りれます」なんてことはないわけです。
すると間接的に、高額納税者=裕福な人から貧しい人へ寄付をしているようなことになります(語弊がありますが、わかりやすく言うと)。
この効果を 裕福な人の「富」を貧しい人に「再分配」していることになるので、「富の再分配」といいます。
国民の間に富の格差が大きくなると、ストライキやボイコットなどが生じ、社会が不安定になったりします。
このように税を利用して、所得や資産の再分配を図り社会の安定化を図っています。
この役割は、節税対策と関わってきますので、よく覚えておきましょう。
2.景気調整(所得税と消費税)
この役割を理解するために、まず「景気」について説明します。
「景気」というのは社会全体で売ったり買ったりという経済活動が活発かどうかという「状況」を指す言葉です。
①国民の所得が多い(=国民が豊か)と使えるお金があるので消費が増え、景気は良くなります。
②商品やサービスが売れるので、会社は生産を増やします。
③しかし、商品やサービスが売れすぎると、値段は上がります。
④すると、売れなくなり、景気は悪くなり、会社は生産を控えはじめます。
⑤商品やサービスが売れなくなると、商品やサービスの値段は下がります。
⑥すると、また売れはじめ、消費が増えて景気は良くなります。
このように景気は上がったり下がったりしています。これを景気循環といいますが、これ自体は悪いことではありません。経済の自然現象と言っていいでしょう。
しかし、極端な変動は社会の安定を崩してしまいます。
自然現象も雨が降ること自体は必要なことですが、大雨になって洪水とかが起こると大変ですよね。同じことです。
個人からしたら下がりすぎはもちろんダメだけど、上がるのはいいんじゃない?と思うかもしれませんが、上がりすぎもダメです。景気は循環しているので、上がりすぎたあとには、だいたい下がりすぎがくるからです。
ここまでが前提。
で、今度は景気調整ですが、
①国民の所得が多い(=国民が豊か)と使えるお金があるので消費が増えます
→この時、税金(所得税や消費税)の負担額が大きくなります。
④すると、売れなくなり、景気は悪くなり、会社は生産を控えはじめます。
→この時、税金(所得税や消費税)の負担額は少なくなります。
つまり、景気が上がっている時には、税金の負担額も上がるので、上がりすぎを防止し、景気が下がっている時には、税金の負担額も下がるので、下がりすぎを防止しているのです。
これを自動調節機能(ビルトイン・スタビライザー)といいます。
3と4は次回説明します。
次回の更新は5月31日の予定です。