税金の二大原則
前回は「所得」に税金がかかる。そして「みんなそれぞれが能力に応じて払える額を払う」=「課税公平主義」というのがでてきました。
そして、課税公平主義は税金の2大原則の一つということでした。
では、もう一つはなんでしょう?
それを、詳しく見ていきたいと思います。
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幸せに暮らしていた、定吉たちでしたが、こんな問題が起こりました。
与作「定吉!てえへんだ、てえへんだ!」
定吉「おう!どうした与作。」
与作「今、作ってるでっけえ船を手伝ってくれてる十兵衛が、材料が足りないからって、五右衛門から奪い出したんで、もめてるんだよ。」
定吉「なんだってぇ!」
定吉が急いで、現場に駆けつけると、
十兵衛「いいじゃねえか!こんなにあるんだから、ちょっとくらいもらったって!」
五右衛門「なにいいやがる!これは、うちで使うためにとっておいてあるんだよ!」
と二人は言い合っていました。
定吉は「まあまあ」ととりあえず、二人から話を聞くことにしました。
いきさつはこうでした。
十兵衛は、船の材料がちょっと足りなかったので、近くの五右衛門の家の前に山のように積まれていた木材をみて、五右衛門にちょっともらってもいいだろと声をかけて、もっていこうとしたそうな。
しかし、五右衛門は自分で作ろうとしていた船のために、全部の材料をきちんと図っており、一つ欠けるとできないため、もっていこうとした十兵衛にくってかかったそうな。
前から十兵衛は、裕福なくせに、みんなのための食料や材料をほとんど出さない五右衛門をよく思っていなかった上に、「これくらいなら頼めばくれるだろう」と思って、頼んだにもかかわらず、怒り出した十兵衛に「なんてケチな奴!」と言い返したところ、ケンカになったそうな。
これを聞いた定吉は「うーん、これは問題だ」と考えました。
そして、定吉は「よし、ルールをつくろう!まずは、みんなにきちんと食料や材料をもらうことにしよう(=納税の義務)。ただし、勝手にとってはいけない。必ず、ルールにもとづいてみんなからもらわないといけないことにしよう!(=租税法律主義)」
という風に決めました。
そして、とりあえず今回は十兵衛が五右衛門に材料を返し、謝り、
一方、五右衛門は、別に自分の出せる材料を出してもらうことにして解決しました。
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さぁ、わかりましたか?
そうです。もう一つの大原則は「租税法律主義」です。
つまり、きちんと法律に決められているルールに基づいてしか税金を取ってはいけませんよ!法律で決まってもないのに、勝手に「ちょっと必要だから」とか「儲かってそうじゃん」とかいう理由で、とってはいけませんよ!ということです。
では、どういう風に決められているのでしょう?
実は憲法84条で決められています。
「第84条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」
「第30条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」
いまとなっては当たり前のことですが、昔はそうではなかったんですね。
今だって、会社で行事の会費を集めたりするとき、ないですか?
権力の強い人間はあまり払わずに、下の人たちだけが払うようなこと。
実は当たり前じゃなかったから、法律ではっきり決められているんですよね。
一方、もう一つの大原則である課税公平主義の方は、はっきりとは憲法には書かれていませんが、憲法14条で「国民は平等」と書かれているため、そこから考えて、税金は国民の能力に応じて、平等でないといけないねとなっています。
第14条
1.すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2.家族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3.栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴わない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
とても、基本的で大事なことですが、こんなことをわざわざ説明してくれる税理士さんや会計士さんは少ないのではないでしょうか?
たしかに、これを知ったからといって、税金が安くなったりはしません。
でも、次に書く、税金の種類・分類を理解するためには必要な知識になります。
それでは、今回はここまで。